山猫ホテル展覧会まとめ記事《前編》

空は青く澄みわたり山は日に日に緑が深まっていくこの季節。

美しい丹波の森の美術館、兵庫陶芸美術館コミュニティギャラリーで展覧会「山猫ホテル」を開催しました。

美術館入口には今年も大きなポスターを掲示いただきました。このポスターを見てご来場くださる方が多いのでとてもありがたいです。

階段を上っていくとこちらの建物が見えます。コミュニティギャラリーです。

緑に囲まれた森の美術館のギャラリー。中から外を眺めても美しい景色が目に入ります。振り返ると吹き抜けの天窓から入る優しい光が大変心地よいです。
初めて見学にお邪魔した時、この場所で展覧会をやりたいと塩田が確信したのはこの環境が自分のアトリエととても似通っていたからでした。

10年がかりで完成を目指す作品」山猫ホテル」、その制作過程を一年に一度だけ公開する展覧会。今年は2年目となりました。

ヒカリ達キャラクターがお出迎えの後、時計回りに展示を観ていただきます。

窓の外の緑も視界に入る心地よい空間。

シンプルなパネルに作品が展示されています。

作品とは言っても今回はほぼ全てが未完成、および習作です。わかりやすく表現すると「制作中のアトリエの様子を公開する」ようなイメージ。なぜそのような展覧会を?と言った問いに対する答えが展示のガイダンスとして貼られています。

山猫ホテルのストーリー概略が説明されています。
今回のようなイレギュラーなスタイルの展覧会では最初にこのような説明を読んでいただくことでお客さまに展示内容が伝わりやすいのではと思い工夫しました。

ドローイングも数点、初の展示です。山猫ホテルについては湧き上がるイメージを手法で制限することなく表現していきたいという意志がはっきりと存在します。

作品は一切額装をせず剥き出しのまま展示されています。紙の質感、絵の具の盛り上がり、筆の運び、時には破かれた穴などから制作のエネルギーや息遣いを感じていただけると思います。

会場ではじめて塩田の作品に対面された方の中にはこのような展示に驚かれた方もいらっしゃいましたが同時にとても興味深く受けとめていただき、様々な感想も伺えました。「絵画展に初めて足を運んだ」と仰る方が長い時間ゆっくりと作品をご覧になった後で「とても楽しかった」と言ってくださったのが嬉しかったです。

GW期間中という事で、行楽がてら立ち寄られる方、他のイベントの流れでたまたまご来場になる方も少なく無いと思い、展示の意味がわかりやすいように作品グループ毎にこのようなメモも添えてみました。アトリエで制作中の塩田に手書きしてもらったものをそのまま貼っています。少し読み辛い部分、意味がわかりにくい部分があるかもしれませんが臨場感が伝わる気がします。

今回の展示で重要なポイントになっているフランスのことわざを原語で記したドローイング。グループ毎に意味が異なりますが、訳文を添えることで同じグループ内の作品同士の関連性が掴みやすいようになっています。

ともかく「何を表現したいのか」が明確にわかるような工夫を出来るだけ試みました。

後編へ続く〜